紅茶とともに、軽食やスイーツを楽しむアフタヌーンティー。その上品なひとときには、ゆったりとした時間を過ごすための小さなマナーが大切にされています。
マナーを知っておくことで、周囲への心配りが自然にできるようになり、ティータイムがより心地よいものに変わります。
この記事では、アフタヌーンティーを楽しむうえで知っておきたい基本的なマナーを、わかりやすくご紹介していきます。
これからアフタヌーンティーに参加する方も、すでに親しんでいる方も、ぜひこの機会に基本を見直して、素敵なティータイムを楽しんでみませんか?
アフタヌーンティーの基本マナーとは
アフタヌーンティーは、紅茶とともに軽食やスイーツを楽しむ、優雅なひとときです。その時間をより豊かに過ごすためには、いくつかの基本的なマナーを知っておくと安心です。
相手への気遣いや場の雰囲気を大切にすることで、自分自身も楽しむことができます。
ここでは、アフタヌーンティーの成り立ちや、基本マナーの大切さ、そしてハイティーとの違いについてご紹介します。
基本的なマナーの重要性
アフタヌーンティーを楽しむとき、単に紅茶や食事を味わうだけでなく、一緒に過ごす相手や周囲への配慮も大切なマナーのひとつです。
たとえば、ナプキンの使い方、カトラリーの取り扱い、会話のテンポなど、ちょっとした心遣いが場を和やかにしてくれます。
基本的なマナーを知っていれば、自分も周りもよりリラックスして心地よい時間を過ごせるでしょう。
アフタヌーンティーとハイティーの違い
よく耳にする「ハイティー」とアフタヌーンティーは、実は目的や雰囲気が少し異なります。
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アフタヌーンティーは、午後3時ごろに軽食と紅茶を楽しむ、社交的なスタイルです。スコーンやサンドイッチ、ケーキなど、比較的軽めの食事が中心となります。
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ハイティーは、夕方にしっかりとした食事をとるスタイルでした。肉料理やパイなど、ボリュームのあるメニューが特徴です。
シチュエーションに応じて言葉を使い分けるとスマートな印象を与えることができます。
服装のマナー
アフタヌーンティーをより楽しく、心地よいものにするためには、服装にも少し気を配りたいところです。
場にふさわしい装いは、自分自身の気持ちを引き締めるだけでなく、一緒に過ごす人や周囲への敬意を表すことにもつながります。
ここでは、アフタヌーンティーにふさわしい服装選びについて、わかりやすくご紹介していきます。
ドレスコードとスタイル
アフタヌーンティーでは、特に格式のあるホテルやサロンではドレスコードが設けられていることもあります。
たとえば、次のようなスタイルが好まれます。
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男性の場合:ジャケットを羽織ったスマートカジュアルスタイル。ネクタイは必須ではないこともありますが、きちんとした印象を意識しましょう。
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女性の場合:ワンピースやブラウスにスカートなど、エレガントで清楚な装いが理想です。派手すぎない色合いを選ぶと、より上品な雰囲気になります。
リラックスできる範囲で、少し特別感を意識した服装を選ぶのがポイントです。
季節に応じた服装選び
季節感を取り入れた装いは、アフタヌーンティーの雰囲気をより豊かにしてくれます。
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春・夏:明るい色や軽やかな素材の服装がおすすめです。リネンやコットンなど、涼しげな素材を選ぶと快適に過ごせます。
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秋・冬:落ち着いた色味や温かみのある素材を取り入れましょう。ウールやカシミヤのアイテムを上手に組み合わせると、季節感が引き立ちます。
季節ごとの装いを意識することで、ティータイム全体がより洗練された印象になります。
ホテルでの服装マナー
ホテルのアフタヌーンティーでは、少し格式を意識した服装が求められることもあります。
特に注意したいのは、次のポイントです。
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カジュアルすぎないこと
デニムやTシャツ、スニーカーなどのラフなスタイルは避けましょう。 -
過度な装飾は控えめに
華美すぎるアクセサリーや、大胆な柄は控えめにして、上品なバランスを心がけます。 -
靴にも気を配る
サンダルやビーチサンダルは避け、きちんとした靴を選びましょう。女性ならパンプスやフラットシューズが無難です。
場の雰囲気に合わせた装いを心がけることで、アフタヌーンティーの時間がより心地よく、思い出深いものになります。
テーブルマナー
アフタヌーンティーを楽しむ場では、テーブルマナーを守ることが、心地よいひとときを作り出す鍵となります。
テーブルの上での振る舞いは、その場の雰囲気を左右する大切な要素です。落ち着いた動作とさりげない心配りを意識することで、自分も周囲もゆったりした気持ちで紅茶の時間を楽しむことができます。
ナプキンの使い方
着席したら、まずナプキンを膝の上に広げます。広げる際は、無造作にではなく、自然な動きで丁寧に。口元を拭くときは、ナプキンの内側を軽く当てるようにし、汚れた面が見えないよう配慮しましょう。
退席する際には、きちんとたたまず、軽く折りたたんでテーブルの左側に置きます。ナプキンの扱いひとつでも、品の良さを感じさせることができます。
食器の置き方と取り方
食器を持ち上げるときや置くときは、音を立てないように注意します。ティーカップを持つ際には、ソーサーごと持ち上げず、カップだけを指先でそっと支えるのが基本です。
また、カップを戻すときも、静かに音を立てずに置くよう心がけましょう。周囲への配慮を大切にすることが、落ち着いたテーブルマナーにつながります。
カトラリーの使い方とマナー
カトラリーは、外側に置かれているものから順に使っていきます。使用後は、プレートの上に揃えて置き、使用中であることを示す場合は、ナイフとフォークを八の字に置くなどのサインも意識しましょう。
スコーンにジャムやクロテッドクリームを塗る際は、取り分け用のスプーンを使い、直に塗るのではなく、まず自分の皿に取り分けてから使うのがマナーです。
動作を丁寧にすることで、全体に落ち着いた雰囲気が広がります。
飲み物の楽しみ方
アフタヌーンティーで提供される飲み物は、その場の雰囲気や楽しみ方を一層引き立てる大切な要素です。中でも紅茶は主役と言っても過言ではありません。
飲み物を上手に楽しむためには、ただ飲むだけでなく、紅茶の選び方や注ぎ方、カップの持ち方にも気を配りたいものです。
ちょっとした動作にも心を込めることで、ティータイムがより豊かで品のある時間に変わります。
紅茶の選び方とミルクの使い方
紅茶を選ぶ際は、季節や気分に合わせて好みの種類を楽しむのがおすすめです。例えば、春にはダージリンのような軽やかな紅茶、冬にはアッサムなどコクのある紅茶を選ぶと、より季節感を味わえます。
紅茶にミルクを加えるときは、先に紅茶を注いだあとにミルクを加えるのが一般的です。この順番にすることで、紅茶の温度を適度に保ちつつ、香りを損なうことなく楽しむことができます。
ミルクは少しずつ注ぎ、スプーンでそっとかき混ぜましょう。決して勢いよくかき混ぜたり、音を立てたりしないよう注意します。
ティーカップとソーサーの取り扱い
ティーカップを持つときは、カップの取っ手を親指と人差し指でそっとつまむように持ちます。持ち上げる際、ソーサーはテーブルに置いたままにし、カップだけを手に取るのが基本です。
立ったまま紅茶を飲む場面や、カップとソーサーを一緒に持つ必要がある場合は、カップとソーサーの両方を安定させるように支えながら持ちましょう。
カップを口に運ぶ動作は静かに、そしてゆっくりと行うと、上品な印象になります。
マナーと飲み方
紅茶を飲むときは、無理に一気に飲み干すのではなく、少しずつ味わいながらいただくのがマナーです。
飲む前には、紅茶の香りを静かに楽しみましょう。口元にカップを運び、ひと口ずつ丁寧に味わいながら飲み進めると、紅茶本来の風味がより豊かに感じられます。
ティータイムの流れに身をゆだねながら、自然なペースで紅茶を楽しむことを心がけると、さらに優雅な時間を過ごすことができます。
食べ物の楽しみ方
アフタヌーンティーでは、紅茶だけでなく、用意された食べ物を丁寧に味わうことも大切な楽しみのひとつです。
スコーン、サンドイッチ、スイーツなど、それぞれの食べ物には伝統的な食べ方やマナーがあり、これを知っているだけでティータイムがぐっと豊かなものになります。
見た目の美しさを楽しみながら、落ち着いたペースで一つひとつ丁寧に味わう──それが、アフタヌーンティーをより特別な時間にする秘訣です。
スコーンの食べ方とクリーム
スコーンはアフタヌーンティーの象徴的な存在です。手で割って食べるのが正式なマナーとされており、ナイフを使って切るのではなく、自然に手でふたつに割るのが基本です。
スコーンには、クロテッドクリームとジャムを添えて楽しむのが一般的ですが、地域によってクリームを先に塗るか、ジャムを先に塗るかの違いもあります。
どちらの場合も、まず自分の皿にクリームとジャムを取り分け、スコーンに塗るときはナイフを丁寧に使いましょう。べったりと厚塗りせず、軽く塗る程度に留めると、上品な印象を与えます。
サンドイッチとスイーツの食べ方
サンドイッチは一口サイズにカットされているものが多く、手で持ってそのままいただくのが一般的です。大きい場合でも、一度に頬張らず、少しずつ口に運びましょう。
サンドイッチを食べる順番に厳密なルールはありませんが、味の淡いものから濃いものへ進めると、最後までバランスよく楽しめます。
スイーツに関しては、小ぶりなものは手で持って、フォークが添えられている場合はフォークを使って丁寧に食べます。
食べかけを見せないよう、一口サイズにカットしてから口に運ぶと、より美しい所作となります。
ティースタンドの各段の楽しみ方
アフタヌーンティーでよく見かける三段のティースタンドには、それぞれの段に意味があります。一般的には、
- 一番下の段にサンドイッチ
- 中段にスコーン
- 上段にスイーツ
が並べられています。
食べる順番も、下の段から順に上へと進めるのが基本です。最初にサンドイッチで軽く空腹を満たし、次にスコーンを楽しみ、最後にスイーツで締めくくる流れになっています。
この順序を意識することで、味のバランスが自然と整い、アフタヌーンティー全体の流れをよりスムーズに楽しむことができます。
食べ物を取り分けるときや食べ進めるときは、周囲にも気を配りながら丁寧に動作することを心がけましょう。それだけで、テーブル全体の雰囲気がぐっと和やかに、上品なものになります。
取り分けと残すマナー
アフタヌーンティーでは、食べ物の取り分け方や食べ残しに関するマナーにも、さりげない心遣いが求められます。
華やかなティータイムを、誰もが気持ちよく過ごすために、ちょっとした所作や心配りを意識することが、洗練された大人のたしなみといえるでしょう。
ここでは、取り分けの際の注意点や、食べきれなかったときの正しい振る舞いについてご紹介します。
シェアする際の注意点
アフタヌーンティーでは、複数人でティースタンドを囲みながら、それぞれの段から食べ物を取り分けて楽しむことが一般的です。このとき、次のような点に注意しましょう。
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取り分けは専用トングやサーバーを使う
手で直接触れたり、自分の使用中のカトラリーで取ったりするのはマナー違反です。用意されているトングやサーバーを使いましょう。 -
一度にたくさん取らず、少しずつ楽しむ
一度にたくさんのアイテムを取ると、見た目にも美しさが損なわれてしまいます。必要な分だけを控えめに取りましょう。 -
順番を譲り合う
自分ばかり先に取り分けず、周囲の方に「どうぞ」と声をかけながら譲り合うと、より穏やかな雰囲気が生まれます。
シェアの仕方ひとつで、テーブル全体の空気が和やかに整います。
残しても良いものとマナー違反
お腹の具合や好みによって、すべての食べ物を食べきれないこともあります。
その場合でも、次の点に注意してスマートに振る舞いましょう。
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無理に食べきろうとしない
適量を楽しむことが大切です。食べ残しは失礼とされる場もありますが、無理に食べることはありません。 -
きれいに残す
食べ残す場合でも、皿の上が散らからないよう、なるべくきれいにまとめておきます。崩れたケーキやクリームが広がった状態は避けましょう。 -
持ち帰りについてはお店のルールに従う
ホテルなどでは、持ち帰り不可の場合もあります。持ち帰りを希望する場合は、必ずスタッフに確認するようにしましょう。
状況に応じた柔軟な対応を心がけることが、スマートなマナーになります。
食べ物の順番と食べ方
アフタヌーンティーでは、食べる順番にも自然な流れがあります。
下段のサンドイッチ、中段のスコーン、上段のスイーツ──この順序で進めるのが一般的です。
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味の淡いものから濃いものへ
最初にさっぱりとした味わいのサンドイッチを楽しみ、スコーンで満足感を得たあと、最後に甘いスイーツで締めくくる流れが自然です。 -
食べ方も丁寧に
サンドイッチは手で持ち、スコーンは手で割り、スイーツはフォークやスプーンを使って美しくいただきます。ひと口ごとに味わいながら、丁寧に食べ進めることを意識しましょう。
食べる順番を意識することで、紅茶との相性もより楽しめ、ティータイム全体のバランスが整います。
自宅でのアフタヌーンティー
自宅でアフタヌーンティーを楽しむことは、特別な外出をしなくても気軽に優雅な時間を味わうことができる素敵な方法です。
家庭ならではのアレンジやゆったりした雰囲気の中で、自分らしいティータイムを演出することができます。
必要な道具を揃え、基本的なマナーを守りながら過ごすことで、家にいながら本格的なアフタヌーンティーの世界を楽しむことができるでしょう。
必要な道具と準備
自宅でアフタヌーンティーを開くためには、いくつか揃えておきたい基本のアイテムがあります。
- ティーポットとティーカップ:紅茶を美味しくいれるために、使いやすく温かみのあるデザインのものを選びましょう。
- ティースタンド:三段スタンドがあると雰囲気がぐっと本格的になりますが、なければプレートを重ねるだけでも十分楽しめます。
- クロスやナプキン:テーブルクロスや布ナプキンを用意すると、より上品な雰囲気に。
- サンドイッチ、スコーン、スイーツ:定番のメニューを用意して、バランスよく並べることを意識しましょう。
飲み物や食べ物だけでなく、テーブル全体のコーディネートを楽しみながら準備することで、特別なひとときが完成します。
家庭でも楽しむための基本マナー
自宅でのアフタヌーンティーでも、基本的なマナーを意識することは大切です。たとえば、ナプキンを膝に置く、カップの持ち方に気をつける、食べる順番を考えるなど、ちょっとした所作にも気を配りましょう。
また、同席する家族や友人との会話も、穏やかで楽しいものにすることを心がけます。ティータイムは単なる食事の時間ではなく、リラックスしながら交流を深めるための大切な時間です。
気取りすぎず、でも丁寧な所作を意識することで、自宅でも本格的なティータイムを満喫できます。
オンラインでの体験やプラン
近年では、自宅にいながらオンラインでアフタヌーンティーを楽しめるサービスも増えています。ホテルや有名カフェから取り寄せたアフタヌーンティーセットを、自宅で味わうプランなどが人気です。
また、オンラインで友人や家族とつながりながら、それぞれの家でティータイムを共有するスタイルも広がっています。画面越しに笑顔を交わしながら、同じ紅茶やスイーツを楽しむ時間は、距離を超えた新しいティータイムの形といえるでしょう。
自宅でも、オンラインでも。少しの工夫と心配りで、アフタヌーンティーの優雅な世界はどこでも楽しめます。
まとめ
アフタヌーンティーは、ただ紅茶や軽食を楽しむだけではなく、場の雰囲気や周囲への配慮を大切にしながら、優雅な時間を共有する文化です。
基本的なマナーを知っておくことで、自分自身もよりリラックスして過ごすことができ、同席する人々にも心地よい時間を提供することができます。
服装、テーブルマナー、紅茶や食べ物のいただき方──一つひとつに込められた小さな心遣いが、ティータイム全体の品格を高めてくれます。特に、さりげない動作や自然な会話を心がけることが、何よりも大切です。
また、自宅で楽しむアフタヌーンティーにも、ほんの少しの工夫と丁寧な振る舞いを加えるだけで、特別な時間を演出することができます。どこにいても、アフタヌーンティーの精神を大切にしながら、心豊かなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
基本を押さえつつ、自分らしいスタイルで楽しむアフタヌーンティー。この記事が、皆さまの素敵なティータイムの参考になれば幸いです。